日本で、フランスの企業と言えば、ファッション、ラグジュアリーや飲食を思い浮かびがちですが、フランスのIT企業(フレンチテックとも呼ぶ)は世界で注目を集めています。例えば、ヨーロッパの最大のクラウドサービスプロバイダーはフランス企業のOVH社です。
今日紹介したいフレンチテックは2016年4月にパリに設立されたCallDesk社です。
多言語対応音声認識IVRのバーチャルエージェント
近年、カスタマーサポートでは、チャットボットやバーチャルエージェントによる応対の自動化が目立ちます。音声認識IVRによる自動化は、効率化の観点から導入メリットが大きいです。
AIを搭載し、自然発話による振り分け処理や自動対応など高度なソリューションも実現できるようになります。CallDeskはこのようなバーチャルエージェントを開発しています。
先日、対応言語をさらに増やし、IVR設定をより詳細に管理できるため、CallDeskはPoint Nine CapitalとEQT Venturesより2.1百万ユーロ(約2.7億円)を調達しました。
単語認識から自然発話理解へ
CallDeskのサービスは従来型の単語認識ではなく、自然言語処理技術で意図を理解し、適切な回答を返却し、または対応を行います。
しかし、本当の強みは文脈理解です。
例えば予約の際に、「その日遅くは?」のような質問に対して、今までの会話を考慮して適切な回答を返却するそうです。
TechCrunchにインタビューされたVincent Gire氏(CEO)は対応の成功率について語ります。
対話の平均成功率は80%だ。単純な対話の場合、95%まで上がる。
現状、CallDeskのバーチャルエージェントは銀行の承認、Eコマースの注文、電話転送やスケジュール管理を行うことができます。なお、全ての電話オペレータを置き換えるためのサービスではなく、時間を費やしてしまう定期的なタスクを効率化したり、顧客の待機時間を減らしたりするものです。
CallDeskはLa Poste(フランスの郵便局)やbouygues telecom(フランスの電気通信事業者)などの大手顧客を誇り、現在54カ国語で対応できるそうです。
企業のホームページにて、フランス語、英語とスペイン語のデモがありますが残念ながら対応言語のリストが見つかりませんでした。日本語の対応状況は不明です。
因みにホームページのデモを聞いて、声は少しロボットっぽいと思いましたが、発話理解のレベルに驚きました。フランス語の場合、かなり自然な対話はちゃんと理解しています。また英語の場合、フランス人の強い訛りも解釈できています。
次世代IVR
チャットボットなどのWebチャネルはかなり注目を集めていますが、電話チャネルはいましばらく進化していません。しかし、チャネルを問わず、同じカスタマー・エクスペリエンスを24時間いつでも提供するため、コールセンターでのオペレータ業務がCallDeskのようなバーチャルエージェントに置き換わっていく日も近いかもしれません。
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